VIVISICK 2nd「NUKED IDENTITY」release interview part3

ついに最終章となる今回は「NUKED IDENTITY」から少し離れ、日本のHC史に残る大イベントとなった「PUNKS WERE MADE BEFORE SOUNDS at.上野公園」についてやアングラとメジャーについての価値観、MV製作などについて聞いた。このPART3だけを読んでも内容は通じるが、もしまだ未読であれば是非PART1~2にも目を通して頂きたい。本作VIVISICK 2nd album「NUKED IDENTITY」を未聴の方には興味を持ってもらえるだろうし、既聴の方でもインタビューを読む前と後では聴こえ方が少し異なると思う。いずれにせよ今後の動きも目が離せない彼らのインタビュー最終章PART3をどうぞ。

part.1はこちら
part.2はこちら

S = SUNAO(Vo)
T = TAKAHASHI(Ba)
K = KAZUKI(Gt)
HA = HARU(Gt)
H = HITOSHI(Dr)

【PUNKS WERE MADE BEFORE SOUNDS at.上野公園】
─上野公園でのイベントをやった感想を教えて頂きたいのですが

K:オレは高校生の頃、バンド組んでライブやってみたいって思った時に当時街にはライブハウスっていうのが無くて。
市民会館とか電話して場所だけおさえて、あとは自分たちと仲間でチケット作ったり機材持ち込んでセッティングとかをやってたんだけど、その感じを思い出した。

H:一回目はJABARA.で出させてもらったんだけど、HCなんだけど昼間に家族連れで来れるしアンダーグランドなんだけど賑やかな雰囲気が新鮮だったね。

T:いい事言うね~本当。狙ってた通りだね。
海外での経験っていうのも凄いデカくて。
ライブなんだけどバンドを見に来てるわけじゃないヤツもいるみたいな。雑多な感じ。食いもんとか大道芸とかアートとかそういうの集約された企画が凄い憧れがあって。

S:海外だとそういう開けた感じのがスタンダードなんじゃないかと思う。
状況が違うからなんとも言えないんだけど。
海外の方がある程度、HARDCOREが芸術というか文化として認められてるのかなって思う。

T:(日本では)文化とは見られてないね。
日本のHADCOREはやっぱりカッコいいし、世界的にも認められてるバンドも多いのに国内では世間的には認められてない傾向があると思う。

S:うん。じゃなきゃ何歳になったら辞める、みたいな話にならないと思うし。
音楽はエンターテイメントとしてしか見られてないんだと思う。

─普段ライブに来ないような人にもアピール出来るイベントだったのかなと思いますが、いかがでしょうか?

HA:なんかフラっと入って来た人もいたらしいね。

S:まさに狙いの一つだったね。

K:触れてもらえる機会は多い方がいいよね。

S:さっきも言ったように開かれたものにしたいっていうのがあったからね。

【メジャーとアンダーグラウンド】

S:海外のハードコアはオーバーグラウンドとは別世界で盛り上がっているような感じで、すごく理想的に感じたんだ。もっと別世界で盛り上がる事も出来るんじゃないか?っていう想いもあっての上野公園でした。

T:親戚のおじさんとかね、バンドやってるっていうと「メジャー目指してるんだ」みたいな話にもなると思うんだけどそうじゃねぇんだよっていうね。笑

─メジャーのバンドについてはどう思いますか?

T:メジャーのバンドが良い悪いじゃなくて、それを一辺倒な考えで捉える価値観がイヤで。

S:そう。メジャーだから凄いとも、アンダーグラウンドだから偉いとも思わない。どこの世界でも凄い人、面白い人、魅力的な人はいるから。それはどこに属しているか?で決まるわけじゃないし。

T:メジャーを目指すことがバンドやってる人の唯一の道じゃないというか

S:それは選択肢の一つだと思うし、それを目指したい人は目指せばいいし。
オレたちの楽しみはまた違うところにあるってだけで。例えば上野公園のイベントみたいなことはパンクだからできた最高の空間だと思うし。海外ツアーでのことだってパンクバンドだから体験できたことも山ほどあるし。今回のアルバムの仕様もパンクならではだと思うし。そういう意味で、これからもこの立場だからこそ出来ることを追求していきたい。

【MP3と現物】
─歌詞カードの中にMP3に関する言及がありました。MP3やデジタルに反対、という訳では無いと思うのですがその辺りはいかがでしょうか?

T:昔は凄いこだわりがあったんだけど、今はデジタルも生活の一部になっているし否定はしないです。
今回の音源も友達からデータ貰って聞くって聞き方も出来るし、もちろんしてもらっても全然構わないし。
でも言えるのは、そうやってデータだけで聞くのと、このジャケやアートワークを含めた現物を持って聞くのとでは大きな隔たりがあると思うって事。

S:データから分かるのは音だけ。音楽だけど音だけじゃなく、歌詞とかアートワークも大切だと思う。
だってこのアルバムの録音自体は2014年末には終わってた訳で、なんでリリースが2015年の8月になるのかっていうと、音以外の部分を詰めてたからで。

そこまで価値を見い出してやってる。作った方の気持ちもハンパじゃないし、自分たちの作品を大切にしてるんだ。
もちろん歌詞だってそうだし、プロセスが全然違う。

T:そう。でも別に「データで聞いただけでオレ達を判断するな!」って事じゃない。
間違い無くオレ達の一部だから問題ない。でもオレ達が本当に表現したい事はこっち(アートワーク含めた現物)だっていう事。

K:こういう事を表明する事でMP3で聞いてた人が現物を手にしてくれるかもしれないしね。

S:そう。別にMP3悪いって言ってる訳じゃない。キッカケとしてももちろんアリだと思うし。

【MV】
─MVを作成中との事ですがどのようなモノになりそうでしょうか?

T:曲は2曲目の「反抗とは創造なり」でERECT MAGAZINEってアートマガジンがあって、そことの共同制作です。
河村康輔君って人がいて、彼は世界的なコラージュアーティストなんです。
その人のコラージュを入れ込んだり、ライブをスクリーンに写した映像の前で演奏したりと面白い感じになると思います。

─河村さんという方はどんな作品を作られている方なのでしょうか?

DEAD KENNEDYSのジャケをやってるWinston Smithと共同で作品だしてたり
AKIRAの大友克洋の絵をコラージュして本人と展覧会やったり、世界中を飛び回って活躍してる人。

ERECT MAGAZINEはJohn Heartfieldの作品集を日本で唯一リリースしているとこだったりして
すごい面白いことをやってる集団なので是非チェックしてみて下さい。

アルバム発売後少ししたら「断ち切られた蜘蛛の糸」も制作予定です。

【注目している人】
─今、注目している人はいますか?

HA:注目している人というか、友達のバンドがレコーディングをするとか聞くと気になりますね。どんなのが出来るのか楽しみで。

T:オレはやっぱりGARAKOZYさん。これからどう動いて行くのか気になりますね。
今回1年位掛けて描いてくれたんで。今後もどんどん攻めの活動を期待してます。
ERECT MAGAZINEも今後どんなことをしでかして行くのか、気になってしょうがないです。

S:オレはEL PUENTEのシゲル君かな。謎めいてるし、持ってる男なんですよね。
アラブの貴族みたいな人と食事したりしてるからね。笑。気になりますね。
EL PUENTEも凄い良い場所になってて、西横浜って正直交通の便はあまり良く無いとは思うんだけど

T:マジックが起こったよね。海外のバンドもたくさん是非あそこでやりたいって言ってるし。

S:音楽の発信源として機能し出しててHARDCOREだけじゃないし。そのムーブメントが凄いよね。
根強く続けて、クリエイティブな場所に発展していくのを見て、そんな事をあそこでやったっていうのは凄い事だなと思う。

アメリカでは当たり前かもしれないんだけどボランティアの精神で、あのギルマンみたいな。
貸し出しのお金は取らないでっていうスタイルに凄いこだわってて。

─シゲルさんとは以前から仲良いのでしょうか?

S:2002年にHELLNATIONのJAPAN TOURをやった時に知り合ったんだ。

T:その何年か後にブラジルツアーにも一緒に行ったりして。

S:目が離せない男ですよ。常に面白い情報を持ってるし。

─KAZUKIさんはいかがでしょうか?

K:もちろん沢山いるんだけど、今は自分の事で精一杯で周りを見渡す余裕が無いんですよね。

─それはそれで一つの答えですよね。了解しました。ではHITOSHIさんはいかがでしょうか?

H:MVをやってもらってるERECT MAGAZINEですね。最近ジャカルタの音楽シーンを取材に行ったりとか動向が気になります。

【原動力】
─既に10年以上、そろそろ20年になろうかという長い時間PUNK/HARDCOREに関わっていると思うのですが、どのような事が原動力となってずっと続けてこれたと思いますか?

S:あんまり考えてた事ないんだけど、ただ目の前にある事が面白くて、それやってたらまた違うモノが現れて。
それの繰り返しで今に至ってる。やりたい事もまだ残ってる感じもするかな。

H:他に刺激的な遊びが無いからかな。

S:でも今が一番納得してるかな。ステージングとか思ってる事がやれてる。
昔はもっと葛藤があったんだけど、今はライブでいつも満足出来るステージが出来てる。

T:長い期間ではあるけど、それより面白い事なんか見つからなかった。って事かと。
アルバム出して来年アメリカツアーやるしこれから楽しみだなって考えてるって事はそう言う事なのかなって思う。

「趣味だけど趣味じゃない」って感覚あるじゃないですか。説明しづらいんだけど。
普通の人から見たら金にもならないのに生活を犠牲にしてる所もあるから。シンプルに、これ以上面白いものが無い、って言う事。

K:オレも同じ感覚かな。岩手で初めてやったバンドが面白過ぎて、それが忘れられなくて。

HA:考えてないっちゃ、考えてないんだけど。オレはなんか・・・バンドやってれば何とかなるかなって思ってて。

H:いいねーそれ。笑

T:バンドはやらなくても死なないけど、やってないと人生面白く無いって人の集まりなんだと思う!

【今後の予定】
─今後の予定を教えて下さい。

T:10/11下北シェルターの昼にVIVISICK初のワンマンをやります。
アルバムのレコ発という事でジャケを含めた今回のアートワークに使われた原画を飾ったり、昔の曲も今の曲も結構な曲数やる予定なので、是非遊びに来てもらえたらと思います。

【最後の一言】
─それでは最後に読んでる人にメッセージを頂けますか?

T:よくインタビューで「今回は自信作です!」って言うのとか、本当か?って思ったりもしてたけど、今回は自信作です。
リリース前にこれだけ「今回のはイイ!」って思った事は今まで一度も無かった。

S:好みはあると思うけど、自分たちにしか作れないモノを作ったと思います。悔いは無いですね。本当に色んな人の助けを得て完成する事ができました。

T:MIXとマスタリング、SE制作はUGA君(CHARM)、ポスターとかも含めてこのリリースに関するすべてのアートワークはKFAD SEIJI君(GRIND SHAFT)。絵を描いてくれたGARAKOZYさん。凄い精度で翻訳やってくれた中西あゆみちゃん(映画『マージナル=ジャカルタパンク』の監督)。MV制作してくれるアキくん(CHEERIO)はじめERECT MAGAZINE。

S:その筋の専門職、まさにプロで飯食ってる人達が動いてくれました。

T:だからビジネスライクにやったら何百万掛かるんだよって事をやってますよ。
それをオレ達の活動を理解してくれての善意で成り立ってる。本当に恵まれた環境にいるんだなって再認識させてくれたアルバムですね。

─ありがとうございました!



2015.7.3 at.新宿小滝橋通りサイゼリヤ

VIVISICK 2nd New Album
「NUKED IDENTITY」
2015年8月発売/1500円(税抜)
VIVISICK Recordings(Japan), TANKCRIMES(USA), AVAIL Records(Malaysia), BONGHWANG Records(Korea), INSANE SOCIETY(Czech)
12Pのタブロイド新聞型インサートが封入されたBOXタイプジャケット

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VIVISICK2ndアルバム「NUKED IDENTITY(被曝したアイデンティティ)」

海外有名パンクバンドと比べて、日本のハードコアパンクバンドのライブは素晴らしいものが多い。その代表と言えるのが、今回2008年の1stアルバム「RESPECT AND HATE」より7年ぶりとなる2ndアルバム「NUKED IDENTITY」を発売するVIVISICKだ。

VIVISICK節とも言えるサウンドのポップセンスやコーラスワークは、健在どころか進化を遂げ、5人編成になった音圧と迫力は、あの超絶激情ライブを彷彿とさせる。彼等を知らない・観たことが無いというのは、人生の素晴らしさをひとつ知らないということに等しい。その意味を知りたければ迷うことは無い。今すぐこのアルバムを聴くだけだ。

新聞のような歌詞カードも非常に読みやすく、歌詞の内容、韻の踏み方、コーラス部分のセンス等、この想いの強さが心に響かない人間の愛はニセモノだろう。

完全自主制作でVIVISICKを中心とした、アメリカ、マレーシア、チェコ、韓国のレーベルとの共同リリースで、今後LPはアメリカから、カセットテープはマレーシアから発売される。まずはこのCDを聴いてVIVISICKのライブに行く準備をしろ!お前の人生は劇的な変化を遂げる!

(ISHIYA / FORWARD)





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